誹謗中傷の慰謝料の相場(法務省の資料によると)
「慰謝料はいくらぐらいでしょうか。」と聞かれることがあります。誹謗中傷の被害に遭った人は気になって当然ですし、投稿した側も、示談金がどの程度か予想しておく必要があるので、気になる点だと思います。
令和8年4月、法務省が「インターネット上の名誉権侵害等の損害賠償額等に関する調査報告書」を公表しました。令和4・5年と平成24・25年の判決をデータベースから抽出し、認容された慰謝料の額の分布を整理した報告書です。
この報告書によると、対象となった裁判例203件における認容慰謝料額は、30万円未満が全体の約4割(39.4%)、30万円から100万円未満が同じく約4割(36.5%)でした。100万円を超える事案は約4分の1で、200万円を超える事案は1割程度に留まります。中央値は30万円、平均値は64.5万円です。これらの数字は、現場の感覚と概ね一致しています。
今後は、この報告書の分布を基準に説明することになると思います。
ただし、報告書の数字を絶対視するのは危険です。報告書自身が、特定の民間データベースからの抽出であり、全国の同種事案の傾向を直接反映するものではないからです。
さらなる疑問として「これは1件あたりの慰謝料なのか」「10件の場合は10倍になるのか」も気になると思います。
これに対する回答としては、「1件あたりの慰謝料ではないし、10件の場合に(金額が)10倍になることもない」という回答になります。
要するに、先ほどの裁判例200件程度は、誹謗中傷の回数で分けずに検討した分布なので、そのような回答になってしまいます。
ただ、これについては、報告書の別の部分と合わせて読めば、ある程度想定できることがあります。本当にざっくりとした回答で、ここを深掘りすることに意味があるとも思えないですが。
誹謗中傷の回数が多ければ慰謝料が増加する要素になりますが、それは1回か5回かという程度の差ではなく、20-30件、あるいは50-60件といった枠組みで回数を考慮した際に、慰謝料の額が大きく上がる要素になる、という回答になるのだと思います。
もちろん、1件で600万円のケースもありますし、数回の侵害行為で300万円というケースもあります。
私の担当した事件でも5回程度の投稿で300万円というケースもあります。
このように回数で決まるわけではないので、あまり厳密に検討する必要はないかもしれませんが、どうしても回数が気になるのであれば、数十件という投稿数の場合は、金額が上がる要素になる、という理解でいいと思います。
慰謝料が高額になる要素としては他にもあるので、それはまた別の記事で。















