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コラム | 阪神総合法律事務所|大阪、神戸間の弁護士

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コラム

削除されるまでのスケジュール感

作成日:2026年04月22日(水)

インターネット上の投稿や記事について削除相談を受けると、かなりの頻度で聞かれるのが、

 

「削除されるまで、どのくらい日数がかかるのでしょうか」

 

というご質問です。

 

ご依頼者としては、「早く消してほしい」「この状態が続くのがつらい」と感じていることが多く、いつになったら削除されるのか気になるのは当然だと思います。

 

今回は、裁判ではなく、フォーム申請・通知書送付などの任意の削除請求を前提に、一般的なスケジュール感をお伝えします。

 

1 削除までの目安

 

私の実務感覚としては、削除要請をしてから削除完了までの期間は、概ね以下のようなイメージです。

 

中央値:約5週間最短:当日(1日)最長:2か月半程度

 

そのため、委任契約書やご案内資料には、念のため

 

「3か月程度かかる場合もあります」

 

と記載することがあります。

 

もちろん、すべての案件が5週間で終わるわけではなく、かなり早いケースもあれば、想定以上に長引くケースもあります。

 

2 なぜ時間がかかるのか

 

(一般的なブログ・サイト等の場合)

 

削除請求をすると、サーバー会社が、投稿者・管理者などに対し、

 

「削除請求が届いているけどあなたの意見は?」

 

という確認(いわゆる意見照会)を行うことがあります。

 

典型的には、以下のような流れになります。

 

(1) こちらから請求し、相手方へ届くまで

 

約1週間程度

 

請求書やフォーム申請を送っても、即日担当部署に届いて判断されるとは限りません。受付・振り分け・確認に時間がかかることがあります。

 

(2) 管理者・投稿者の回答期間

 

約2週間程度

 

削除に反論があるかなどを確認する期間です。

 

(3) サイト側の最終判断・処理

 

約1週間程度

 

回答内容を踏まえて削除するかどうか判断し、実際の削除作業が行われます。

 

これらを単純に足すと約4週間ですが、実際には多少前後しますので、私は**「5週間前後」**とご説明することが多いです。

 

3 スケジュールが前後する要因

 

(a) 明らかな権利侵害で即対応される場合

 

内容が悪質で、名誉毀損・プライバシー侵害などが明白な場合には、意見照会を経ずに削除されることがあります。

 

この場合、当日〜数日で削除されることもあります。

 

(b) サイト側が慎重な場合

 

サイト運営者によっては、削除判断に慎重で、時間がかかることがあります。

 

大手企業ほど、法務確認や内部フローがあり、かえって時間がかかることもあります。

 

(c) サイトの対応状況が不安定な場合

 

いつもは3週間ほどで返答が来るサイトでも、時期によって急に遅くなることがあります。

 

担当者の変更、繁忙、体制変更など理由は様々ですが、

 

返答が来ない再度催促してようやく動く2か月後に突然削除される

 

といったケースもあります。

 

4 裁判より「読みにくい」のが任意削除請求

 

裁判手続であれば、期日や進行予定が比較的見えやすい面があります。

 

これに対し、任意の削除請求は、相手方サイトの対応次第でかなり差が出ます。

 

そのため、

 

「5週間と聞いたのに、まだ消えません」

 

というご不安の声をいただくこともありますが、こちらとしてもサイト内部の混雑状況や審査状況までは把握できません。

 

あくまで、

 

5週間前後は一つの目安もっと早いこともあるもっと遅いこともある

 

というご理解をいただければと思います。

 

5 まとめ

 

任意の削除請求におけるスケジュール感は、概ね以下のとおりです。

 

目安:5週間前後早ければ当日長ければ2〜3か月

 

サイトの種類、投稿内容、権利侵害の明確さ、運営会社の体制によって大きく変わります。

 

今回の内容は、特定事件ではなく、あくまで一般的な実務傾向としてのお話です。

発信者情報開示請求の弁護士費用は相手に請求できるのか(法務省の資料によると)

作成日:2026年05月05日(火)

発信者情報開示請求の手続費用、弁護士費用を相手に請求できるかという点については、以前にも記事を書いたことがあります。

 

その時の結論は、最高裁の判断はなく、裁判例の数も少なく、高裁レベルでも判断が分かれているため、最終的には裁判官による、というものでした。

 

法務省の資料によると

 

令和8年4月、法務省から「インターネット上の名誉権侵害等の損害賠償額等に関する調査報告書」が公表されました。そこで、開示費用の請求についてもどのような分析がされているかを確認してみました。

 

結論として、報告書を踏まえても、相談者にお伝えする内容は大きく変わりません。

 

報告書によると、最高裁の判断はなく、高裁の裁判例も少数にとどまっています。対象期間の2年間で「開示費用が損害となるか」の判断材料になるのは、28件程度と思われます。2年間で28件は、相当に少ない件数です。そして、高裁レベルでは結論が分かれているため、結局のところ、前回書いた記事のとおりの結論となります。

 

もう一つ気になるのは、報告書の元になっているデータが、少し古い印象を受ける点です。対象が、令和4・5年の判決なので、今から3、4年前のものが中心となります。判決までに1年程度、その前の開示請求でさらに半年程度かかっていると想定すると、投稿自体は令和2年から令和3年ころです。報告書も、令和4年10月1日施行のプロバイダ責任制限法改正後の発信者情報開示命令事件によって開示を受けた事案は含まれていない、と注意書きをしています。

 

最近の改正後の運用を直接反映している資料、とは言いにくいです。

 

その点を踏まえても、現状の結論は、前回の記事のとおりです。

 

参考となる傾向

 

報告書から1点、参考になる傾向が読み取れました。慰謝料の認容額が高い事案ほど開示費用の全額が認められやすく、慰謝料の認容額が低い事案ほど開示費用の全額は認められにくい、という傾向です。

 

慰謝料が5万円や10万円しか認められなかった事案で、開示費用60万円を全額認めると、加害行為に対する制裁としてバランスを欠くという感覚が働いているのだと思います(確かそれを明示している地裁の裁判例があったと思います)。そのバランス感覚が果たして適切なのかは議論の余地がありますが(被害者に発生した損害の賠償であり、制裁ではないような気がします)、限られたサンプル数の中でも、一定の傾向として表れていることは事実です。

 

訴訟の場面では慰謝料の額が、開示費用の認容割合についての攻撃防御の指標として機能し得る、ということになります。ただ、慰謝料の認容額自体が事案ごとに大きく振れるため、開示費用について事前に正確に予測することは難しいのが実情です。

 

結論

 

結局のところ、受任段階で「開示費用は相手から取り戻せますか」と聞かれた場合、最終的には裁判官によりますし、事前には分からない、という回答になる点は変わりません。そのことを理解していただいたうえで、リスクとして受容し開示請求に進むかどうかを判断していただくということも変わりません。

刑事告訴(名誉毀損)は効果的か

作成日:2026年07月01日(水)

告訴重視はむしろ危険

 

誹謗中傷の被害者である依頼者から、「刑事告訴は効果的ですか」と聞かれることがあります。
結論として、刑事告訴がメインで動くケースはかなり少ないです。むしろ、刑事手続きだけを進めると、権利救済が不可能になってしまうケースの方が多いように思います。民事手続きを行わないリスクを説明していなければ説明義務違反、弁護過誤になり得ると考えています。
SNS等で刑事告訴を過大視する投稿を見ると、ミスリードな投稿であると感じるのが正直なところです。

 

ただ、開示請求の手続きと合わせたり、開示請求から少し遅れて刑事手続きを進めたりすることで、効果的になる場合はあります。

 

刑事告訴がメインにならない理由

 

刑事告訴がメインにならない理由の一つとして、警察が動いてくれない、あるいは告訴を受理してもらえないという点があります。もちろん、刑事告訴を確実に受理させる方法があることも事実です。私も、警察や検察に刑事告訴を受理させる手法は知っていますし、かなり強引に受理してもらった経験もあります。
受理させること自体が最終目標であればその方法でも良いですが、依頼者の本当の目標は、警察にしっかり動いてもらって、刑事処分を求めることにあるはずです。「受理さえさせれば警察が動く」ということも誤りです。動いてもらうための地道な準備は絶対に必要ですし、それをしない刑事告訴には意味がありません。刑事告訴の費用が無駄になってしまいます。

 

基本は民事の開示請求

 

ネット上の名誉毀損における告訴手続きは、開示請求を先行させる場合が多いです。結局のところウェブサイトの種類次第にはなるのですが、特に海外の会社のSNSは、民事の開示請求がほぼ必須と言えます。民事の手続きを先に進めない限り、刑事告訴は意味をなさないと思います。
結局のところ、プロバイダが日本警察の対応にどこまで真摯に応じてくれるのかという、極めて実務的な問題を把握していないと、適切なアドバイスはできません。むしろ民事の開示請求という王道の方針を阻害してしまい、刑事告訴を進めましょうという助言が、マイナスの助言になってしまうこともあります。

 

依頼者から聞かれた際は、上記を説明し、告訴が効果的なケースで告訴した方が良い段階になれば、再度検討しています。

スレッド全体が削除された裁判例

作成日:2026年07月02日(木)

「スレッド全体を削除することはできますか」と聞かれることがあります。SNSアカウント自体の削除を求める場合も同様です。

 

ハードルは高い

 

結論としては、ハードルはかなり高いですが、認められることもあります、とお答えしています。

 

ただ、認められる場合といってもケースバイケースで、ハードルが高いことは間違いありません。問い合わせをいただいた段階で「はい、できます」と即答できるケースは相当少ないと思います。アカウント全体の削除についても、同じように、かなり限定的な判断になります(アカウントについて、なりすましアカウントの場合は、まだ認められやすいと思います)。

 

投稿1つずつの削除が原則

 

原則としては、掲示板(スレッド)であれば、特定のレス(投稿)ごとに違法性が判断されます。SNSでも、一つ一つの投稿について個別に違法性を判断するのが基本です。スレッドやアカウントを丸ごと一体として見るのではなく、投稿単位で見ていくということです。

 

裁判で削除が認められた事例

 

そのうえで、スレッド全体やアカウント自体が削除されるパターンもあります。
私の経験では、裁判外の任意の削除請求でスレッド全体の削除が認められたことがありますし、裁判でも削除が認められた事例もあります。
数百件の投稿のうち、8割程度がいわゆる誹謗中傷の投稿がされていたスレッドです。

 

裁判でスレッド全体の削除が認められるのは相当レアで、かなり珍しいのだと思います。少なくとも、私が使っている判例検索システムで探した範囲では、同じような裁判例は見当たりませんでした。

 

このように、スレッド全体の削除は相当レアなパターンです。初回の問い合わせの段階で「全体を削除できます」と断言できる場合はほとんどありませんし、削除できると回答する弁護士もまずいないのではないかと思います。

 

スレッド全体削除が認められる事情

 

ただ、次のような事情を総合的に見ていくと、全体削除の可能性が見えてくることもあります。スレッドのタイトルそのものに問題がある場合、全投稿数のうち誹謗中傷が占める割合が高い場合、スレッド全体が実質的に誹謗中傷を行うための場になっている場合、個別削除の難易度の高さなどの事情です。

 

原則は「一つ一つの投稿ごとに判断する」という形になりますが、具体的な事情を丁寧に聞いたうえで、「このケースなら全体削除を狙えるかもしれません」という話をさせていただくことはできます。このように、スレッド全体の削除ができるかどうかは、じっくり話を聞いたうえで回答するという運用にしています。

逮捕記事の削除 いつから消せるのか

作成日:2023年02月08日(水)

逮捕された記事を消したいが、どのぐらい期間が経過したら消せますか、とよく聞かれます。すぐに消すのは難しそうだけど、いつから消せるのか、知りたいのは当然です。

 

不起訴→事件から3年

 

罰金→納付してから5年

 

執行猶予→猶予期間の経過

 

これが1つの目安かなと思います。罰金を納付してから2カ月程度で削除できたこともありますが、これはまた別で。

 

削除できるかは、色々な事情から判断するので、期間の経過だけでは決まりません(より短い期間で消える場合もあれば、より長い期間が経過しても消えない場合もあります。不起訴の場合は、特に不起訴になった理由も関係あります。)。

 

しかし、期間が経過したという事実は、評価によって変わらないので、相談者にとって分かりやすい指標になるし、裁判所が削除を判断するうえでも、重要な要素だと思います。

なりすましの被害対応

作成日:2026年07月28日(火)

「なりすましの被害に遭ったので、犯人を突き止めたい」という相談もあります。

 

勝手に写真を使われ、偽物のアカウントを作られるのですから、感覚的には「アウト」だと考えるのは当然です。しかし、裁判所の判断は意外とシビアです。

 

なりすましは、アイデンティティ権、つまり人格の同一性の侵害にあたります。平たく言えば、「周囲から認識されている人物像を勝手に作り替えられることによる侵害」です。受忍限度を超える場合に、権利侵害になります。

ただし、アイデンティティ権は明確に確立された権利とまではいえず、この1本だけで裁判を起こすと、裁判官から名誉権やプライバシー権の主張を示唆されます。実務上は、名誉権侵害やプライバシー権侵害として構成したほうが通りやすいからです(肖像権侵害も場合によっては併せて主張しますが、肖像権もハードルは高めです)。

多くのなりすましは、名誉権やプライバシー権の侵害を伴うため、これらをメインに裁判を起こすことになります。

 

しかし、なりすましが名誉権やプライバシー権の侵害に該当しない場合は、慎重な検討が必要です。「この投稿やアカウントが自分だと思われると、なぜ受忍限度を超えて嫌なのか」を具体的に説明できなければなりません。単に「なりすまされていて嫌だ」「気持ち悪い」というだけでは、法的な権利侵害とは認められません。

 

例えば、キリスト教の信者が、なりすましによって「ユダヤ教を信仰している」かのような投稿をされる場合は、権利侵害と認められる可能性が高いでしょう。参政党の党員が、なりすましによって「自民党を応援している」ような投稿をされる場合も同様です。宗教や政治的な立場の人格のなりすましは、認められやすいと思います。

一方で、阪神ファンが、なりすましによって巨人ファンであるかのような投稿をされた場合はどうでしょうか。嫌いな芸能人を応援している投稿だった場合はどうでしょうか。これらは判断が分かれる可能性があります。

 

最終的には、相談者への聞き取りによって「受忍限度を超えて嫌な理由」を把握しなければ、裁判で勝てるかどうかの見通しは立ちません。

さらに、いつまでに手続を行う必要があるのか、開示請求の一般的な注意点やハードルについても考慮が必要ですが、これらは別の記事で。

開示請求はまだ間に合うか

作成日:2026年07月28日(火)

「3か月以内の投稿なので開示請求できますよね」と聞かれることがあります。

 

結論としては、投稿から1か月程度がリミットと考えています。

 

「ネットでは3か月と書いてあった」「ChatGPTは2か月だった」「他の弁護士が3か月以内と言っていた」と言われることもあります。この分野を取り扱っていないと、弁護士でも「3か月」と思ってしまうほど、3か月リミット説は有名ですが、実際は1か月程度です。

 

SNSやウェブサイトによっては、リミットがさらに短く、1〜2週間のところもあります(回線の種類によっては4〜6か月になることもありますが、その回線が不明である以上、短めの期間をお伝えすることになります)。

 

「開示請求の手続きは法律改正でスピーディーになったのではないですか」と聞かれることもありますが、それも正しくありません。確かに提供命令は早くなりましたが、提供命令に従わないSNSやウェブサイトもあります。驚かれる方が多いのですが、提供命令に従わなくても罰則はないため、従わない事業者も存在します。その場合は別の方法で請求する必要があります。

 

また、裁判所の提供命令が出ても、「いつまでに情報を提供すべき」という期限はないため、相当待たされることもあります。結局、提供された情報を基にログを保存できるまでに2か月程度かかるため、やはりリミットは投稿から1か月ということになります。

ドタキャンあるある事例

作成日:2021年01月26日(火)

今回は、『ドタキャンバスターズ』に関するコラムをご紹介です。

 

 

 

こんな時ってキャンセル料を請求できるの?

 

 

 

<<日本料理 Aさんの場合>>

Aさんの店にあるお客様からコース料理4名分の予約をいただきました。

 

Aさんは予約をいただいたとき、連絡なくキャンセルするとコース料金と同額のキャンセル料が発生することも伝えています。

 

 

当日、来店予定時間の1時間前にそのお客様から電話がありました。

 

 

しかし、Aさんもスタッフもお帰りになる他のお客様の対応に追われていて、そのお客様の電話には出られませんでした。

もちろん留守番電話にはお客様のメッセージは残されておらず、お店のホームページに書いてある代表メールにも連絡はありません。

 

Aさんは、すぐにお客様に折り返しの電話をいれましたが電話は繋がらず、その日、計5回お客様に電話しましたが、結局連絡の取れないまま、お店にもお見えになりませんでした。

 

 

はい。そうです。よくあるドタキャンのパターンです。

 

 

翌日にようやく連絡がつながり、キャンセル料を請求します。

 

 

すると、お客様はこのように言い返しました。

 

「昨日、電話したし~。でも、アンタ出なかったし~。電話でなかったアンタが悪いっしょ~。だから、キャンセル料を払うのはおかしいでしょう。」

 

 

キャンセル料の支払を拒否してきました。

 

 

この場合、キャンセル料を請求できるでしょうか?

 

 

A. 問題なく請求できます。

 

予約するときもそうですが、キャンセルするときも相手方に必ずきちんとその意思が伝わらないといけません。

 

これを意思表示の到達主義といいます。

 

お客様は、どのようなやむを得ない事情があったにせよ、Aさんにキャンセルする旨を必ずAさんやスタッフに伝えなければなりません。

お客様が、Aさんやスタッフにキャンセルすることを伝えていない以上、キャンセルをしたことになりません。

 

よって、キャンセル料を請求することは可能です。

 

最近の裁判例 グーグルに対する削除命令の取消し

作成日:2016年08月31日(水)

平成28年(ラ)192号 平成28年7月12日東京高決

 

グーグルに対して検索結果を削除せよとの命令が、東京高裁で取り消されました(削除命令の決定)

 

ざっくりした事案は以下のとおりです。

 

 

Xが児童買春で逮捕→罰金刑→納付

3年後 グーグルでXを検索すると逮捕等の情報がヒット

Xがグーグルに対して検索結果がヒットしないように請求

 

 

取り消した理由として、刑の言い渡しの効力はまだ失われていないことが挙げられています。

本件は罰金を納付しているので、既に刑の執行は終了しています。

しかし、裁判所は、刑の執行が終了しているか否かよりも、言い渡しの効力が失われているか否かを重視しているようです。

 

 

取り消した理由として、検索しても逮捕等の情報に直ちにたどり着かないことが挙げられています。

本件では逮捕等の情報がヒットするといっても2400件中49件であり、上位には表示されていない事案です。

98%は同姓同名の者の別の情報が表示されており、49件であれば、個別に削除の対応をすることが不可能ともいえません。

 

 

さらに、検索結果の削除は個別の書き込みの削除比べて影響が大きいことも、取り消した理由に挙げられています。電子掲示板には逮捕等の情報とは無関係の書き込みが多数あるので、検索結果を削除するとそれらの書き込み全てが検索できなくなってしまうことを重視しているようです。

 

しかし、この点については、やや知る権利を過大視しているように思います。逮捕等の情報とは無関係の書き込みがあるのであれば、逮捕等の情報と無関係のキーワードで検索した場合、その電子掲示板は検索結果にヒットするので、その掲示板へのアクセスを事実上不可能にするとまでは言えないのではないでしょうか。

 

 

3つの決定理由のうち、1つについては疑問が残る裁判例です。

 

今後、最高裁の判断や本案の判断が明らかになると思われますが、現時点では、罰金刑の納付から5年経過していたり(刑法34条)、執行猶予期間が経過していれば(刑法27条)、刑の言い渡しが効力を失うので、削除の可能性が高くなるといえるでしょう。

 

 

また、検索結果が数百件以上あり、容易に逮捕等の情報にたどり着く事案であれば、削除が認められる可能性が高くるといえるでしょう。

最近の裁判例 住所でポン! 削除命令

作成日:2016年08月23日(火)

平28(ヨ)103号 平成28年5月19日さいたま地決

 

ウェブサイト管理者に対して、氏名、住所、電話番号等の削除を命じた事案

 

 

ざっくりした事案は以下のとおり。

 

 

住所でポン!のウェブサイト管理者が、承諾なく他人の氏名、住所、電話番号を掲載

 

サイト管理者は、紙媒体のハローページから情報を取得

 

勝手に掲載された人たちが、サイト管理者に対して、削除を請求

 

結論として、裁判所は、削除を認めており、妥当な判断です。

 

 

本件では、債務者の審尋も行われないまま発令されています。

 

プライバシー侵害の場合は、名誉権や風評被害の場合と異なり、価値判断の厳密な比較まで要しない場合が多いので、削除されやすい流れでしたが、この流れを踏襲したものといえます。

 

また、本件の氏名、住所等は、元々、ハローページで公開されていた情報です。

氏名、住所等はプライバシーとして保護されるものですが、既に公開されているなら、プライバシーの侵害はないのではないか、ということが問題となっています。

 

しかし、紙媒体で配布されていたとしても、それをインターネット上で公開されることまで承諾していたとはいえません。ネットで公開されることによって、検索、閲覧の容易性が格段に高まるというネット上の特殊性を考慮したといえます。

 

 

既に公開されている情報であったとしても、被害者側から見て、公開の程度の差が大きければ削除が認められやすくなるといえるでしょう。